5月28日に川崎市で発生した殺傷事件は社会に大きな衝撃を与え、「おやすみ」の仲間や家族、スタッフにとっても非常に心の痛む出来事でした。
何よりもまず、被害に遭われた方や御家族、関係者の方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。心身ともに被害に遭われた方の1日も早い御回復と心の傷も癒やされますようにと心からお祈りいたします。
私たちはその後の容疑者に関する報道の中で「ひきこもり傾向にあった」事、そのことが「事件に関連付けられる」ような表現がされることに問題を感じました。「ひきこもっていたこと」と「殺傷事件を起こしたこと」を安易に関連付ける報道がなされることは、無関係のひきこもり当事者を深く傷つけることにもなり、誤解と偏見を助長し、更に社会から孤立し追いつめられるのではないかと危惧しています。「ひきこもりの人が…」とひとくくりにせず、先入観や臆測に寄らない、公平で客観的な報道・情報発信を誠に求めるものです。
事件以降、御本人や御家族の中には体調を崩される方もおられ、それでなくとも外に出づらくつらい思いをしているのに、更に精神的に追い詰められ孤独を強く感じ、ますます地域社会から孤立してゆくことにならないかと案じています。
当団体では1人1人と信頼関係を築くことを大切にし、異なった状況に置かれている方々ともお互いに助け合い支え合える関係を作る事が、生きやすい社会を創っていくことにつながると信じ、行動しています。
情報発信のあり方が、事件背景の丁寧な検証に基づく公正なものであることを望むとともに、発信される情報を受け取る側の私たちが、冷静に情報を吟味していく姿勢を持ち続けゆくことが大切だと考えています。
2019年 7月 3日
フリースペース「おやすみ」スタッフ一同
フリースペース「おやすみ」について
ひきこもりがちで社会や学校に馴染みにくい。生きづらい。様々な困難を抱えた方がおられます。その方々から「思い切って家から一歩踏み出して外出したいと思っても、安心して出かけられ、休憩できる場所が本当に少ない」との声を聞きました。
そんな思いに少しでも応えられたらと、ないものは創ろう、の思いからできたのがひきこもりがちな若者の居場所フリースペース「おやすみ」(以下「おやすみ」)です。安心して過ごせる、ということは「自分が自分でいて良い」と感じる場所であり、「ひきこもりがちな自分」をまずは認めてもらえ、理解してもらえるスタッフや仲間がいる所だろうと思います。気軽に行けて、ゆっくり休息できる居場所であれたらと願い、2006年から「おやすみ」は毎週(月)の午後2時から5時まで、扉を開け続けています。
事件を受け、さらにつらい日々を過ごしておられる方がいらっしゃるかも知れません。
「おやすみ」は、ひきこもりがちな若者の一つの居場所として、これからも地域にあって大切な一人一人と信頼関係を築きながら対等な社会の一員として、仲間として共に歩んでゆけたらと願っています。お気軽にお訪ねください。